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中央林間マルシェ。やっぱりテコリーヌはマルシェとか言われるものに出てはいけないと痛感した中でそんな憂鬱を根底から覆す素晴らしい訪問者の方々、そして不思議な福の神

今回のイベントは事前に案内した通り都会のマルシェ。秋冬コレクションというタイトルまで付いたオシャレなパンフレットを見ると、出展者に知り合いが誰も居ないという、そんなイベント。
で、行ってみたらイベント自体も訪れる人々もやっぱり想像通りの雰囲気でした。会場は中央林間駅前の東急ストアを囲む様な配置だったため、東急ストアから出てくる買い物帰りのマダムが素敵なコートで颯爽と歩く姿などが見受けられました。そしてなにより出展者の人達がお洒落なんです。ファッションセンスが明らかに上級者。ブースの造りもまるでプロっぽい。そして作品の価格帯は0ひとつ少ない。あれもこれも、見つけた可愛いいモノぜ~んぶ欲しい!っていう女子達には嬉しい、いわゆるプチプラ。
だけどそんなイベントに来たからと言って、媚びることを許さないテコリーヌは普段通りに堂々と会場入り&店舗設営。そして「失敗した~!」と心で叫ぶ(笑) だって場違い感たっぷりですから。
両隣の可愛らしいオシャレなお店に囲まれたテコリーヌはこんな感じ。
狭いのは承知していたけれど、両隣との間は写真の通りピッタリと寄せられています。一旦テーブルの後ろに入るともうウロウロと出入りが出来ない。いつもの様に作品とお客さんとのベストな距離を図って接客することも出来ません。さてどうしましょうと戸惑いながら、何とかセッティングを終えてイベント開始時刻になる→徐々に人が流れてくる→と思いきや、あっという間に大勢の人が次から次へ、どっと押し寄せてくるじゃありませんか。内心あわわわわーとなりながら行き交う人々に声をかけるテコリーヌですが…
見てください。賑わう通りの中でテコリーヌのブース前だけ人が避けてるこの風景を。写真の人、なんか近寄ることを躊躇ってるような距離のとり方ですよ(笑) で、たとえ興味を持って寄って来てくれる人がいても鎖のがま口を触りたいだけだったり、値段を見て黙って去ってゆく人がほとんど。
中央林間マルシェの公式サイトでは早速当日の様子がアップされていましたので、どれだけ人が多かったかが良く分かる写真を1枚拝借。
どうです!この、人だらけ!
こんな状況でもテコリーヌの前には人だかりがほとんど出来ないんです。それはそれで凄いでしょう?
 
ああ、終わったなぁ。なんて思った矢先、本当のお客さんが現れましたよ。奇跡ですよ。食い入る様にひとつひとつの作品に見入る男性の登場です。その男性は質問もしてくれるし、こちらの接客にも真剣に耳を傾け、気になるものを試着までしてくれます。さり気なく付けている時計やアクセサリーを見ると、それはブランドものでも量産品でもないことが分かります。かなり手の込んだ、間違いなくハンドメイドの1点ものであり、センスもクオリティも相当なもの。ムムッ!ただ者ではないですね。そうなるとここがマルシェであろうとクラフトフェアであろうと背筋が伸びます。話をしていても、作り手としてテコリーヌが伝えたいことをこちらの拙い言葉でも手に取るように理解してくださるのです。その男性はレザーと鎖を組み合わせたタイプのバングルを選びました。私がアドバイスするまでもなく、センスの良い人は自分を良く知っていますね。いちばん似合うものがどれかって。決め方がスマートです。
で、ついさっきまでの絶望感が一転し、こんな素敵な出会いに胸が熱くなる思いで男性を見送った時でした。ふと見えたその男性の帽子に付いてるブローチに、ものすごい既視感……。ちょっと待って!!  あれはjuconさんの作品じゃないの!!!! ……なんということでしょう。その男性(写真小僧ですと名乗ったN田さん)、まさかテコリーヌを知ってて寄ってくれたんでしょうか?それとも偶然?あのまま去っていかれたので真相は謎のまま。ですがここでもやっぱりjuconさんの存在が出てくるのですね(実はこの後もまだまだ)。センスがあり見る目が確かで、モノの価値を知るjuconファンの方がテコリーヌ作品を気に入ってくれたこと、本当に嬉しく思います。
さて、その後すぐに次の嬉しい訪問者が現れましたよ。それはグンマーのO谷さん。多摩くらふとの時から約2ヶ月ぶりの再会です。今回は妹さんファミリーも一緒でした。兄妹、姪っ子甥っ子みんな相変わらず本当に仲良し。そんなO谷さんもやっぱりjuconファンのひとり。更に最近はテコリーヌの盟友、ジャンキーレザーのバッグを持ってやって来ます。凄く似合ってます。そうやってテコリーヌからジャンキーレザーにもO谷さんとのご縁を繋げてくれたjuconさん、実は毎年この中央林間マルシェに出展されていたんです。だからまるでjuconの追っかけのようにテコリーヌも応募したわけです。そんな今年、なんとjuconさんが落選してテコリーヌが受かってしまったんですよ。だから今回は juconさんの居ないイベントなんですが、そこにもテコリーヌを目当てに2時間以上もかけて来てくれたんですよね、O谷さん。嬉しかったなあ。しかもですよ、なんと、3個目のメリケンさんをご購入。どんだけそれが好きなのぉ!?って、妹さんも半笑いの呆れ顔(笑) 実は2ヶ月前よりもちょっとゴツくなったパーツ金具の違いが分かってそれをコレクションに加えてくれたO谷さん。テコリーヌの常連さんの中で最もマニアックなテコリーヌフリークです。
そしてO谷さん達がイベント会場を一巡りしに行くと同時になんとすぐにまた知ってる顔が!神奈川県のレザー作家、ZUNI。奥様と小さな娘ちゃんと友人とみんなで現れたので、N田さん、O谷さんに続いて追い風のごとくまるで援軍が現れたかの様な心強さ。自分はテコリーヌ王国の国民であると自らそう称するZUNI。なんとテコリーヌの私物であるあの添加物バッグが欲しいと言います。それも、最近作ったばかりのランチBOXサイズを。イベントの店頭には出さないけれどご要望があれば購入出来ることも含めて blog を熟読してないと知りえないことを知っている。これは出来る国民です。はい、持ってきてますよ。ありがとうございます!
じわじわとマニアックなファンや国民が増えてることを、まさかこの様なマルシェの場で実感するとは。
こうしてZUNI軍団の応援もあってすっかり蘇ったところで、またとんでもなく素敵な出会いが訪れましたよ。その人は、初めましてのAn部さん。何がそんなに素敵かと言いますと、先の写真小僧N田さん同様、とっても目の肥えた人なんです。こういう方って、ほぼ例外なくじっくりと満遍なく作品を見て吟味して楽しんでくださるんですよね。そして会話も弾む。聞けば事前にイベントHPに載っていたテコリーヌが気になってチェックしていたのだと言います。そして実際に来て実物を見て作家と交流をして…そこで欲しいものを見つけて購入に至るという、作り手としてそれはそれは嬉しい新規さんとのやりとりが実現したわけです。写真を見ていいなぁと思ってもらえても、実物を見てガッカリされた、なんて目も当てられませんからね。彼はテコリーヌのシンボルでもある六芒星の大きなキーホルダーと、テコリーヌが私物として愛用しているのと同じ指輪をチョイス。やっぱり通です。ありがとうございました!
ところで、そんなお客さん達との交流の合間合間にも、静かに何度も訪れては去ることを繰り返していた人らがいました。この出会いがおそらくテコリーヌ史上、最も強烈なインパクトを残す出来事になろうとはつゆ知らず、また来たなぁ、何故かなぁ、くらいの気持ちで4度目くらいで声をかけました。だって、とてもあの場所に似つかわしいとは言えない風貌と格好のおじいちゃん2人組なんですから。そりゃ不思議に思いますしちょっぴり警戒もしますよ。そのおじいちゃん2人、イメージとしては俳優の笹野高史さんがスラックスにジャンバーという地味な格好をして野球帽を被っている感じ。2人とも全く同じ格好ですよ。野球帽の下をのぞき込むわけにはいかないけど顔もなんだか似てるっぽいからご兄弟かな。そして肩を寄せ合い背中を丸め、ウォレットチェーンをじっと見つめてます。時折ボソボソと何か会話してる様子。恐る恐る声をかけます、そのチェーンが気になりますか?と。はい、と2人で答えた後、このイベントは今日だけですか?次はいつありますか?との質問。そこで毎年春夏コレクションと秋冬コレクションがあることを案内すると、おもむろにチェーンの値札を確認。顔を見合わせ値段を口に出して復唱し合っています。そしてまた出直して来ますとだけ言って静かに去って行きました。おじいちゃん達がしきりに見ていたチェーンは2万円台の決して安くはない、いや、とても高いものです。何故?? しか出てこない謎の人達の謎の行動にただただ唖然とするしかありませんでした。ふぅ。でもですね、これで強烈なインパクトだなんて言うほどテコリーヌは初心者じゃありませんよ。当然まだ続きがあります。でもとりあえずはそれなりに強い印象を残して行ったおじいちゃん達の謎をちょっぴり引きずりながら気を取り直して、訪れる女子達に声をかけ接客をすること約2時間。その間お買い物をしていく人は皆無。がま口さんを触りたくて寄ってくる人、触りに来る子供、値段を見て去る人、そんなローテーションをひたすら繰り返す(笑)でも訪れる人々の波は時折凄い盛り上がりを見せるため、どうしても狭いスペースでのせわしない接客になり、本当に興味を持って来てくれた人を何人か逃していたことも自覚があります。プチプラなカワイイモノを出品している人気ブースには凄い勢いで人だかりが出来て売れていたと、偵察をしていた国王が言っていました。そういうブースの作家さんは接客と言ってもおそらくスーパーや量販店の店員さんのようにせわしなくお金のやり取りをするので精一杯なんだろうと。そんなのテコリーヌとしてはありえないな。などと考えながら長い時間(長く感じる時間)をなんとか踏ん張っているところにいよいよあの人らが再来。あのおじいちゃん達です。その頃にはもう忘れていたものだから、そりゃあもう驚きました。出直す、との言葉は本気だったのですね。現れたと思ったら迷わずあのチェーンを探し始めます。あれ、あれ、無い、無い、って2人で静かに合唱してます。じつはこの日は凄い強風だったために風で乱れた作品を何度も並べ替えていたのでチェーンの場所も移動していたんです。それを慌てておじいちゃんの前に差し出すと、ああ、良かった~、と心からの安堵の声をもらし、それくださいって言うじゃないですか。ええーーー!! 本気ですかっ?! マ ジ ですか?! って言いそうになるのを抑えて、とにかくいつも通りのやり取りをするテコリーヌ。お近くからお越しになられたんですか? とか混乱しながらも精一杯会話を進める中でちゃんとお顔を見てみると、2人の顔が似ているどころではなく全く同じではないですか!さすがに「双子さんですか!」って言葉が出てしまいました。あ、はい。と答える双子のおじいちゃん。お名前を尋ねると、K山です。と、やっぱり淡々と、微かな笑顔で答えてくれました。そんなあまりに不思議なお客さんとそのやり取りを、わりと初期から横で見ていたらしきお隣の作家さんまでも「K山さんていうんですね...」なんて言い出すし(笑)離れた所から見守っていた国王なんて、おじいちゃん達がチェーンを買ったことに驚いて、目をひん剥いて口を開けたまま固まっていました。当の私も正直動揺してしまいお名前を伺うのと一生懸命お礼を伝えるのに精一杯。今思えばもっとお話したかったし記念撮影もしたかったですね。テコリーヌのお客さんのなかでも最高齢の、しかも双子のおじいちゃんとのスリーショットですよ。また会えることを願うのみです。不思議な福の神、K山さん兄弟、本当にありがとうございました!
K山さんが去った後、国王が言いました。「あの人達は人では無いな」と(笑)でも確かに、実際に接触した私がそれを何より感じていたのは事実です。テコリーヌはデビューから5年、出展で赤字にしたことはありません。がむしゃらだった頃に出たイベントはジャンルも場所も選ばずなんでもあり。プロレスイベント、アウトドアの祭典、山奥の村の村民の為のお祭り、街の教育委員からの依頼でやったワークショップ、神社の祭事に便乗したdayショップなどを自分で企画してたり。当時はよく不思議な人がたくさん購入してくれたなんてことがあったんです。嵐の様に来て高額なものを黙ってサッと買って行った名前も知らない人とか、あれから2度と会えてない人達。テコリーヌが駆け出しの頃でも赤字を出さなかったのはそんな人達のお陰でもあるわけで。それをふまえて国王はその人達のことを神様と呼びます。そうか、神様が現れたんだ!と思うと同時に、あの思わぬ出会いと嬉しさに支えられ自信を貰えたこと、そういう一期一会のご縁がくれたもの、初心の頃のことを久しぶりに思い出しました。やっぱり神様だったんだなあ。 
しばらくはこの出来事の話題で国王と盛り上がっていましたが、ほどなくして現れた人にまたしても驚きの声をあげる事に。その人は、多摩くらふとで出会ったjuconさんの常連さんの、H野さんでした。この方も、juconさんが居ないこのイベントに、テコリーヌに会いに来てくださったんです。まさかの再会に歓喜の声ですよ。そしてH野さんは会いに来ただけでなく、サンキャッチャーとチョーカーを購入されました。ありがとうございます!ちなみにサンキャッチャーはこのイベントでも評判はとても良かったんですが、プチプラでは無いためなのか、どなたも購入までには至らず。なのでここでの唯一の購入者がH野さん。更に、選んでくれたチョーカーは出来たてホヤホヤの新作です。こういったマルシェでも、クラフトの魅力や価値を知っていて、好きな作家さんを追って来てくれる人がいるって事に感動です。H野さん、来月の手術頑張ってくださいね。お身体の不調を抱えながらも来てくださったこと、本当に嬉しかったです。 
そういえば、H野さんはテコリーヌのメリケンさんを購入した人達の中の初の女性。今回はお買い物してくださったお客さん達の中の唯一の女性でした。で、その最後のお客さんが去ってイベントも終了となった頃の変なタイミングで差し入れを持って現れたのは神奈川県在住の、パウさんことpowレザーさん。パウさんは間違いなく今年の再会遭遇率ナンバーワンですよね(笑)いつも楽しい時間をありがとうございます。
今年のイベント出展はこれにて終了です。今日は我が指先と言ってもいいくらいに使い込んでる工具や、大好きな丸カンを一切触っていません。別に意識してそうした訳ではないのですが、この半年間、緊張していたんだなぁと実感します。しかし2018にむけてテコリーヌはすぐに動き出します。来年もいらしてくれる方々の期待を裏切るわけにはいきませんから。イベントのお話は当分ありませんが、新作の紹介を始め、upは続けていきます。今後もどうか blog 覗いてくださいね。そして、今年もイベント出展で携わった全ての皆様、ありがとうございました。

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コメント: 4
  • #1

    グンマーのO谷 (木曜日, 30 11月 2017 08:21)

    風の吹く寒い中、お疲れ様でした。

    真鍮、カッコイイ、繊細なもの好きの自分としては、テコリーヌ王国の作品はまさにツボ!

    来年も更に進化したテコリーヌ作品が見られるかな? 楽しみにしています。

  • #2

    グンマーのO谷さんへ (金曜日, 01 12月 2017 00:59)

    寒い中こちらこそありがとうございました!いつもクールなO谷さんからのコメント、びっくりしました。 juconブログにだってコメントしたこと無いのでは...? だとしたら、なんか勝った気分(笑)

    逆に私にとっては
    真鍮・カッコイイ・繊細 = O谷さん。
    そんなO谷さんにテコリーヌ作品を選んでもらえるということが、どんなに嬉しいか...。マニアックなO谷さんをアッと言わせることも今後のテコリーヌの課題です。これは燃えますね。強力な燃料投下をありがとうございます!(笑)

  • #3

    Pow (土曜日, 09 12月 2017 09:34)

    大和市在住じゃないぞ~~・・・

  • #4

    Powさんへ。テコリーヌより。 (日曜日, 10 12月 2017 02:00)

    パウさん、ごめんなさい! 大和市だとばかり思ってました�神奈川県在住に直しました。それにしても今回の記事ではパウさんはかなり最後の方に登場するわけだから.......読破してくださった数少ない優良変人なのですね!ありがとうございます(笑)